あらゆるものすべてについて、大事に大事にとっておくことができないという事実がひしひしと押し寄せた。
うれしいや悲しいといった感情も、物質も、人との関係も。
この世界でそれらが壊れないようになくさないように握りしめていられたとしても、「死」が訪れるときには全部もっていけない。
変化しないことの中にではなく、変化したり握りしめておく必要のないことの中に自由さと安心感があることを知りたい、本当に受け入れたいって思う。
存在の儚さ。
存在意義への不安。
最も分離を感じるであろういつかくるその時を、目の前の人を使って見なくて済むように紛らせている。
でも、根底のその恐怖、そして一体化欲求は、何かの状況や人や出来事が原因では決してない。
そして、そうして自我の錯覚のために人を利用するとき、きっと何も目の前の人のことを見ていないのだと思う。
脈絡のない不安や悲しみや恐怖が一度に押し寄せた。